旅(人生)は恥の掻き捨て

人生なんて所詮一瞬の旅。どれだけ恥を掻こうが足るに足らないものだ。

自殺 尊死は冗談ではない

「尊すぎて死ぬ」

 

というのは、なにかしらの作品、創作物、あるいはただ単にテレビや現実の一コマを切り取った中に尊さを見出したときの感想である。その多くは恋愛を象徴する関係性や、その人物そのものに対して向けられるものだ。

 

これは冗談ではない。尊すぎて死ぬことは、永遠性の渇望と不実の絶望がもたらした結果なのである。

 

基本的な姿勢としてはウェルテルのそれと変わらない。自分がその対象に対して全くかかわる余地のない存在である、という深い絶望は、その対象への憧れが強ければ強いほど、また絶対に聞き届けられない望みであるという確信しかもたらさない。

 

それが創作物の中であればなおさらなのである。それは確かに誰かによって生み出されたものに過ぎないが、しかしそれはある人にとっては時に切実に、現実以上に実存的な意味を帯びることがある。そうなったとき、むしろこの物理的な世界こそが虚構のように思えるわけだが、自分はまさにその虚構の住人であり、そこから逃れることは不可能なのである。

 

こうなると、自らの運命を呪って死ぬことは、なにも不思議ではない。むしろ、現実の不実の恋愛などが動機となりえるのならば、端から結実の望みのない創作物への愛などは、死以外によってどう表現すればいいのだろうか?